賃貸アパートやマンションを買って相続税を減らす対策に、大きな変更が入りました。2025年12月の与党税制改正大綱で示され、令和8年度税制改正に盛り込まれた内容を、結論から書きます。亡くなる前5年以内に取得・新築した貸付用不動産は、従来の路線価・固定資産税評価額ではなく、取得価額をもとに計算した「時価の8割」で評価するという仕組みです。
何が変わるのか
これまで賃貸用の土地建物は、土地を路線価で評価して貸家建付地の減額をし、建物を固定資産税評価額の7割(借家権割合30%を引く)で評価していました。その結果、1億円で買った物件の相続税評価が3,000万〜4,000万円程度になることも珍しくなく、「借入れでアパートを建てれば相続税が減る」と言われてきました。
改正後は、被相続人等が相続開始前5年以内に対価を伴う取引で取得または新築した一定の貸付用不動産について、原則として課税時期の通常の取引価額(時価)で評価します。課税上の弊害がない限り、**取得価額をもとに地価の変動などを考慮して計算した価額の80%**で評価できる、とされています。1億円で買った物件なら、おおむね8,000万円前後の評価になるイメージです。
適用は、2027年(令和9年)1月1日以後に取得・新築した貸付用不動産から、とされています。すでに持っている物件や、2026年中に取得する物件は、従来どおりの評価です。あわせて、不動産小口化商品の評価方法も見直されます。細かい要件は政省令や通達で定められるため、最新の情報を確認してください。
誰にどう影響するか
- 5年以内の相続が見込まれる高齢の方がこれから物件を買う場合:評価の引下げ効果はほぼなくなります。借入金の債務控除は残りますが、評価と借入れの差額による節税は期待できません
- 5年を超えて持ち続けられる場合:取得から5年を過ぎれば従来の評価方法に戻ります。長い期間で賃貸経営として成り立つかどうかが、これまで以上に大切になります
- すでに持っている物件:影響はありません。ただし、相続直前の購入は改正前でも総則6項で否認された例があります
今から考えておくこと
- 物件の取得日を記録しておく。5年の起算点になります
- 「相続税が減るから」だけで物件を買わない。空室や修繕のリスクは評価方法が変わっても残ります
- 自宅の土地には影響しません。小規模宅地等の特例は従来どおり使えます
まとめ
令和8年度改正により、相続直前の賃貸不動産の購入による節税は、2027年以後の取得分から効果が大きく減ります。すでに持っている物件や5年以上保有する物件は従来どおりです。大阪で賃貸物件をお持ちの方、これから購入を考えている方は、改正前後の評価の違いを踏まえて、無理のない計画を立ててください。初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。