相続した農地を転用してアパートを建てる・売る|農地法の許可と届出・譲渡所得の取得費・納税猶予の打ち切り

相続した農地を宅地にしてアパートを建てる・売るには、市街化区域なら農業委員会への届出、調整区域なら農地法4条・5条の許可が必要で、農用地区域の農地は転用がほぼ認められません。転用して売るときの譲渡所得は亡くなった方の取得費を引き継ぎ、3年10か月以内なら取得費加算が使えること、納税猶予を受けていた農地は転用時に猶予税額と利子税を納めることを計算例つきで解説します。

市街化区域の畑を相続し、「もう耕せないから貸家を建てるか売るか」と考える方は多いです。結論から書くと、市街化区域なら転用は農業委員会への届出で済みますが、調整区域、とくに農用地区域の農地は転用がほぼ認められません。転用して売るときの譲渡所得は亡くなった方の取得費を引き継ぎ、納税猶予を受けていた農地なら転用の時点で猶予税額と利子税を納めます。

転用の手続き

農地の場所 自分で建てる(農地法4条) 転用目的で売る(農地法5条)
市街化区域 農業委員会へ届出 農業委員会へ届出
市街化調整区域(農用地区域外) 都道府県知事等の許可 同左
農用地区域(青地) 原則不許可。先に農振除外が必要 同左

市街化区域の届出は、建築確認や売買契約の前に行い、受理通知を受けてから工事や所有権移転に進みます。調整区域の許可は、駅や市街地からの距離などで農地を区分する立地基準と、資金・計画の確実性を見る一般基準の両方を満たす必要があり、農用地区域の農地は除外の手続き自体に長い期間がかかるうえ、認められないことが普通です。転用できるかどうかは、建築や売却の計画を立てる前に農業委員会で確かめてください。

アパートを建てる場合の税金

建てた後の土地は貸家建付地、建物は貸家として評価され、次の相続では評価額が下がります。ただし借入金で建てた場合の効果と空室のリスクは別に検討が必要です(アパート建築の相続税効果)。転用後は地目が宅地に変わり、固定資産税は農地課税から宅地課税になります。家賃は不動産所得として確定申告します。

転用して売る場合の譲渡所得

譲渡所得は「売却額 − 取得費 − 譲渡費用」で計算します。取得費は亡くなった方が買った価額を引き継ぎ、先祖代々の農地で分からなければ売却額の5%(概算取得費)です。所有期間も亡くなった方の取得日から数えるため、ほとんどが長期譲渡(税率20.315%)になります(取得日の引継ぎ)。相続開始から3年10か月以内の売却なら、その農地に対応する相続税額を取得費に加算できます(取得費加算の特例)。

計算例:売却額6,000万円、取得費不明(概算300万円)、譲渡費用200万円、取得費加算500万円なら、譲渡所得は5,000万円、所得税・住民税は約1,016万円です。

納税猶予を受けていた農地の転用

猶予を受けた農地を転用すると、その面積が対象農地の20%以下なら対応する部分、20%を超えれば全部の猶予が打ち切られ、猶予税額と申告期限からの利子税を納めます(打ち切り事由)。アパートの敷地にする転用も同じです。転用を考える時点で、猶予税額・利子税・譲渡所得税の合計と、売却額や家賃収入を比べてから決めます。相続税の申告前に転用や売却の予定があるなら、最初から猶予を受けない選択も検討します(猶予を受けるかどうかの判断)。

当センターでは、農地を含む土地一覧と相続税の試算に加え、転用・売却した場合の譲渡所得税の見込みもあわせてお伝えします。相続税申告は基本報酬99,000円(税込・遺産総額4,000万円まで)から、土地評価は1か所110,000円(税込)から、初回相談は無料です。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

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