結論からいうと、相続税がかかるかどうかは、①財産を洗い出す→②法定相続人を数える→③基礎控除と比べるの3段階で、生前にほぼ確かめられます。概算で「明らかに超える」「明らかに下回る」「境目にある」のどれかが分かれば、今やるべきことが決まります。
手順1:財産を洗い出して概算する
| 財産 | 調べるもの | 概算の出し方 |
|---|---|---|
| 預貯金 | 通帳・ネット銀行の残高 | 残高そのまま |
| 自宅の土地 | 固定資産税の課税明細書 | 課税明細書の土地評価額÷0.7×0.8 |
| 建物 | 同上 | 課税明細書の建物評価額 |
| 上場株式・投資信託 | 証券会社の報告書 | 時価 |
| 生命保険 | 保険証券 | 死亡保険金額−(500万円×法定相続人の数) |
| その他 | 車・貴金属・貸付金・ゴルフ会員権 | おおよその時価 |
土地の計算式は、固定資産税評価額が公示価格の7割、路線価が8割を目安に決められていることを利用した概算です。借入金があれば差し引きます。
手順2:法定相続人を数える
配偶者は常に相続人で、子がいれば子、子がいなければ父母、父母もいなければ兄弟姉妹が加わります(法定相続人の数え方)。養子は実子がいれば1人まで、いなければ2人までしか基礎控除の人数に入れられません。
手順3:基礎控除と比べる
基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です。相続人が妻と子2人なら4,800万円、子1人だけなら3,600万円です。
具体例:夫(70歳)が自分の財産を調べたところ、預金2,000万円、自宅の土地(課税明細書の評価額2,625万円→概算3,000万円)、建物500万円、死亡保険金1,500万円(相続人3人で非課税枠1,500万円→0円)でした。合計5,500万円で、基礎控除4,800万円を700万円超えます。この段階で相続税シミュレーションに入力すると、配偶者の税額軽減を使った場合の税額の目安まで分かります。
基礎控除を超えていたら
- 暦年贈与:年110万円までの贈与を子や孫に続ける。相続人への贈与は亡くなる前7年分(経過措置あり)が相続財産に戻されるため、早く始めるほど効果があります
- 生命保険の非課税枠:非課税枠(500万円×法定相続人の数)に空きがあれば、預金を一時払いの終身保険に替えて枠を使う
- 自宅の相続の仕方を決めておく:配偶者か同居の子が自宅を相続すれば、小規模宅地等の特例で土地の評価を80%減らせます。遺言で決めておくと確実です
注意点
- 家族名義の口座に自分のお金を入れている場合、その預金は自分の財産として数えます(名義預金)
- 概算で基礎控除の前後500万円以内なら、土地の評価方法ひとつで申告の要否が変わるため、専門家に評価を依頼する価値があります
まとめ
財産を洗い出して概算し、基礎控除と比べれば、相続税がかかるかは生前に見当がつきます。超えそうなら贈与・保険・自宅の相続方法で対策を始め、境目なら評価を専門家に確認してください。当センターでは無料相談で生前の試算と対策の優先順位をご案内しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。