住宅地の中には、寺の墓地や公営の斎場、ごみ焼却場などに隣り合う土地があります。結論から書くと、墓地・火葬場・ごみ処理場などに隣接し、付近の宅地と比べて取引価格に影響があると認められる宅地は、評価額の10%を控除できる場合があります。国税庁の取扱いで「忌み」を理由とする利用価値の低下として例示されているものですが、隣接の程度と路線価への織り込みの有無で結論が分かれます。
対象になる施設と隣接の範囲
国税庁は、騒音・日照阻害・臭気・忌みなどにより取引金額に影響を受けると認められる宅地を、利用価値が著しく低下している宅地の例に挙げています。「忌み施設」の典型は次のとおりです。
- 墓地・霊園(寺院の境内墓地を含む)
- 火葬場・斎場
- ごみ処理場・下水処理場
- 刑務所、と畜場など
控除の対象は、原則として施設に直接隣接している宅地です。道路を挟んで向かい側にある場合は、施設の規模や見え方によって認められることもありますが、個別の判断になります。墓地が敷地の裏側に接していて、塀で遮られ日常的に目に入らない場合も、取引価格への影響を説明できるかがポイントです。
路線価に織り込まれているかの確認
大きな霊園や斎場の周辺では、その道路の路線価が周辺より低く設定されていることがあります。その場合、すでに事情が反映されているとみなされ、重ねての控除はできません。確認の手順は次のとおりです。
- 対象の土地が面する道路の路線価と、同じ地域で施設から離れた同程度の道路の路線価を比べる
- 路線価に差がなければ、織り込まれていないと説明できる
- 差があれば、その差が施設によるものか、道路幅や用途地域の違いによるものかを考える
比較表を作り、路線価図の写しとともに申告書に添えます。
計算
控除は、影響を受ける部分の評価額に対して10%です。評価額3,000万円の宅地の裏側全体が墓地に接していれば、3,000万円×10%=300万円を控除します。土地の一部だけが接し、残りは影響がないと見るなら、接している部分の地積の割合で控除します。
認められにくいケースと残す資料
- 施設が隣接ではなく、数十m離れている
- 路線価がすでに低く付けられている
- 小さな墓地が隣接しているが、周辺の取引で価格差が生じているとは言いにくい
- 施設が相続開始時にはすでに移転・廃止されている
逆に、火葬場の煙突が敷地から見える、ごみ処理場の臭気や搬入車両の往来がある、といった具体的な影響があれば説明しやすくなります。
申告には次の資料を残します。
- 施設と敷地の位置関係が分かる公図・住宅地図・現地写真
- 周辺の路線価の比較表
- 近隣の取引事例や不動産会社の査定で価格差が示せればなお良い
これらを土地評価明細書に添え、書面添付で判断の過程を示します。線路や幹線道路の騒音・振動による控除と同じく、事情が重なっても控除は10%が上限です。
当センターの相続税申告では、現地で施設との位置関係を確かめ、周辺の路線価と比べたうえで控除を検討し、書面添付で根拠を示します。土地の評価は1か所110,000円(税込)から、初回相談は無料で承ります。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。