田畑を宅地にした地域では、道路と敷地の間に農業用水路や小河川が残っていることがよくあります。結論から書くと、水路を隔てて道路に面している土地で、橋がなければ道路に出られないものは、道路に接していない土地として評価し、橋を架ける費用相当額を控除して評価できる場合があります。一方、すでに十分な幅の橋があって建築基準法の接道義務を満たしていれば、通常どおり道路に面する土地として評価します。
水路がある土地の3つのパターン
| 状況 | 評価の考え方 |
|---|---|
| 幅2m以上の橋(または暗渠化された部分)があり、接道義務を満たす | 道路に面する宅地として通常どおり評価 |
| 橋はあるが幅が足りず、接道義務を満たさない | 不足分を広げる費用を考慮して無道路地に準じて評価 |
| 橋がない、または占用許可が得られない | 無道路地として評価し、通路開設費用の代わりに架橋費用相当額を控除 |
国税庁の質疑応答では、道路との間に水路があり、橋を架けるには占用許可が必要で、現に橋が架かっていない宅地は無道路地として評価する扱いが示されています。この場合、無道路地の評価手順の「通路開設費用相当額」に代えて、橋の架設費用相当額を控除します。控除額は、無道路地としての価額の40%が上限です。
架橋費用の見積と占用許可
橋を架けるには、水路の管理者(市区町村の河川課・土木課、農業用水なら土地改良区)から占用許可を得る必要があります。確認する内容は次のとおりです。
- 水路が法定外公共物(市町村管理の水路・里道)か、河川法の河川か
- 占用許可の可否と条件(幅・構造・占用料)
- 周辺で架橋の許可を受けた事例があるか
架橋費用は、占用許可の条件に合う構造(コンクリート製の床版など)で、土木業者の見積を取ります。幅2m・水路幅1.5mの小さな橋でも数十万円から百万円台になることがあり、見積書が控除の根拠になります。許可の見込みがそもそもない(河川区域で占用が認められない)場合は、無道路地としての減額に加えて、鑑定評価で時価を示すことも検討します。
計算例
水路を隔てた道路の路線価15万円/㎡、無道路地として不整形地補正などを行った価額が3,000万円、架橋費用の見積が150万円の場合、控除の上限は3,000万円×40%=1,200万円なので、150万円を全額控除して2,850万円が評価額です。
調べ方と注意点
- 水路は公図で「水」や青線で示され、地番がないことが多い。法務局の公図と市の法定外公共物の台帳で管理者を確認する
- 暗渠(ふたがされた水路)で通行できている場合も、占用許可の有無を確認する。無許可のふたは接道の根拠にならない
- 既存の橋が隣地の所有者のものなら、通行の権利の有無を確かめる
- 接道義務の判定は建築指導課で行う。役所調査で道路種別と併せて確認する
水路の有無は公図と現地を見れば分かりますが、評価への影響は占用許可の可否で変わるため、役所への照会が欠かせません。当センターの相続税申告では、現地と水路管理者の調査をしたうえで評価方法を決め、書面添付で根拠を示します。土地の評価は1か所110,000円(税込)からで、初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。