相続登記と相続税申告は意識していても、管理組合への届出が後回しになって「管理費の滞納」の連絡が来ることがあります。結論から書くと、亡くなった人の口座は凍結されるので、遺産分割が決まる前でも管理組合に相続の連絡をして支払い方法を決め、取得者が決まったら区分所有者変更届と口座変更、相続登記の順で進めます。
手続きの順番
| 時期 | 手続き | 相手 |
|---|---|---|
| 死亡後すぐ | 相続が発生したことの連絡。管理費・修繕積立金の支払い方法の相談 | 管理組合(管理会社) |
| 賃貸中なら同時に | 貸主の死亡と、家賃の振込先の変更の通知 | 入居者・賃貸の管理会社・保証会社 |
| 遺産分割後 | 区分所有者変更届(組合員の資格の取得届)と口座振替依頼書の提出 | 管理組合 |
| 同じ時期 | 相続登記(2024年4月から義務。相続を知って3年以内) | 法務局 |
| 翌年の課税まで | 相続人代表者指定届 | 市区町村(固定資産税) |
| 10か月以内 | 相続税の申告 | 税務署 |
管理組合の届出に相続登記の完了は必須ではなく、遺産分割協議書や遺言書の写しで受け付ける組合が多いです。ただし組合によっては登記事項証明書を求めるので、管理規約と管理会社に確認します。
引落口座と滞納
口座が凍結されると引落ができず、管理組合の記録上は滞納になります。遅延損害金が規約で決まっているマンションもあるため、取得者が決まるまでは相続人の誰かが立て替えて払い、後で精算するのが無難です。亡くなった人に滞納があれば、相続人は相続分に応じて支払い義務を引き継ぎ、その滞納額は相続税の債務控除の対象です。相続後に売却した場合、滞納分は買主(特定承継人)も責任を負うため、売買の前に精算するのが通常です。修繕積立金は売却しても返ってきません。
賃貸中の室の場合
- 入居者には、貸主が変わったことと新しい振込先を文書で知らせます。賃貸借契約は相続人にそのまま承継され、結び直す必要はありません
- 敷金の返還義務も相続人が引き継ぎます。相続税では債務控除になります
- 管理会社・保証会社との契約も承継されます。相続人が複数いる間は代表者を決めて家賃を受け取り、分割が決まったら清算します(管理会社・保証会社の契約の引継ぎ)
- サブリースなら借上げ会社に連絡し、賃料の振込先を変えます
必要書類と共有のときの注意
戸籍(法定相続情報一覧図があれば1枚で済む)、遺産分割協議書または遺言書、取得者の印鑑証明書、口座振替依頼書、登記完了後は登記事項証明書。管理組合の書式は管理会社から取り寄せます。
区分所有者が変わると、総会の議決権や理事の順番も取得者に移ります。遺産分割が長引く間は相続人全員の共有なので、議決権を行使する者1人を管理組合に届け出ます。相続登記の期限(3年)に分割が間に合わないときは、相続人申告登記で義務を果たしておく方法があります。
当センターでは、相続税申告とあわせて、管理組合・金融機関・市区町村への届出の順番を一覧にしてお渡ししています。相続税申告は基本報酬99,000円(税込・遺産総額4,000万円まで)からで、初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。