「実家を民泊にしている」「戸建てをシェアハウスとして貸している」。使い方が多様になった分、相続税評価の扱いも分かれます。結論から書くと、賃貸借契約で貸している戸建てやシェアハウスは貸家ですが、民泊は宿泊者に借家権がないので貸家にならず、自用として評価します。小規模宅地等の特例の区分も違います。
使い方ごとの評価
| 使い方 | 建物 | 敷地 | 小規模宅地等の特例 |
|---|---|---|---|
| 戸建てを一棟貸し(賃貸借契約) | 貸家(×70%) | 貸家建付地 | 貸付事業用(200㎡・50%) |
| シェアハウス(各室に賃貸借契約) | 貸家(賃貸割合で調整) | 貸家建付地 | 貸付事業用 |
| シェアハウス(運営会社に一括で貸す) | 貸家 | 貸家建付地 | 貸付事業用 |
| 民泊(自分で運営・住宅宿泊事業) | 自用家屋 | 自用地 | 自ら営む事業として特定事業用(400㎡・80%)に該当する場合がある |
| 民泊(運営会社に建物を貸し、会社が宿泊営業) | 貸家 | 貸家建付地 | 貸付事業用 |
| 親族に無償・格安で貸す | 自用家屋 | 自用地 | 対象外 |
借家権割合30%の減額は「借家人の権利」を反映したものです。宿泊者は借家人ではないので、民泊として自分で運営している建物は、たとえ年間の稼働が高くても自用家屋です。
民泊の特例の区分
自分で民泊(住宅宿泊事業法の届出、または旅館業法の簡易宿所の許可)を営んでいる場合、その敷地は「貸付事業」ではなく「自ら営む事業」の用に供されている宅地として、特定事業用宅地の80%減額の対象になり得ます。要件は、事業を相続人が引き継いで申告期限まで続けること、相続開始前3年以内に始めた事業は原則対象外(一定の設備投資がある場合を除く)などです。副業程度の民泊で事業と認められるかは個別の判断になります。
相続後の届出
- 戸建て賃貸・シェアハウス:貸主の地位の承継。入居者への通知、敷金の引継ぎ
- 民泊(住宅宿泊事業):届出は個人単位なので、相続人が続けるには改めて届出が必要です。簡易宿所の許可も相続の承認申請が要ります。手続きをしないまま営業を続けると無許可営業になります
- 民泊の予約サイトの契約・口座も相続人名義に変えます
相続前に考えておくこと
民泊は収入は高くても、評価減がなく、相続人が続けられないと止まります。賃貸借契約の戸建て賃貸に切り替えれば評価は下がりますが、収入も変わります。どちらが家族に合うかは、相続税と収支の両方で試算します。自宅と賃貸を一つの建物で行う場合の評価も参考にしてください。
当センターでは、物件の使い方(契約書・届出・許可)を確認したうえで、評価の区分と特例を決めて申告しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。