土地活用の提案を受けると、「現状の相続税◯◯万円 → 建築後△△万円」という試算が付いてきます。当センターは建設会社からの依頼でこうした試算を作る側でもあるので、中身の見方を書きます。結論から書くと、評価の計算そのものが間違っている提案書はほとんどありません。見るべきは、前提の置き方です。
読む順番
- 現状の相続税:財産一覧が正しいか。土地の評価が路線価で計算されているか、預金・保険・他の不動産が入っているか、相続人の数は合っているか。ここが違うと全部ずれます
- 建築後の評価:建物の固定資産税評価額を建築費の何%で置いているか(5〜6割が目安)。貸家建付地の借地権割合はその土地のものか。小規模宅地等の特例を使う前提なら、3年ルールと取得者の要件を満たせるか
- 借入:団信付きかどうか。団信付きなら債務控除がないので、試算の「借入を引いた評価」は成り立ちません
- 相続税の減少額:対策前後の差額。これは「建てた場合の相続税」であって「建てた場合の損得」ではありません
収支の前提で見る5点
| 項目 | よくある前提 | 確認する置き方 |
|---|---|---|
| 空室率 | 5%前後 | 周辺の同種物件の実績。10〜15%で再計算 |
| 家賃の下落 | 一定 | 10年で1割、20年で2割の下落で再計算 |
| 金利 | 当初固定 | 1〜2%上がった場合の返済額 |
| 修繕費 | 少額または記載なし | 外壁・屋上・給排水で15年ごとに数百万〜1,000万円超 |
| 30年後 | 記載なし | 残債と建物の価値。残債より価値が低ければ、その差は相続人の負担 |
5点を保守的に置いて30年の累計収支がプラスなら、相続税の減少はその上に乗る効果です。累計がマイナスなら、相続税が減っても家族の財産は減ります。
令和8年度改正が入っているか
2027年1月1日以後に取得した貸付用不動産は、相続開始前5年以内なら時価の8割で評価されます(改正の内容)。提案書の試算が改正前の評価だけで作られている場合、5年以内に相続が起きたときの税額が抜けています。オーナーの年齢と健康状態からみて、5年の前提が現実的かを考えます。
第三者の税理士に確認してもらうとき
提案書と、財産の一覧(固定資産税の課税明細・預金残高・保険・借入)を持って相談すると、同じ前提で「建てない場合・建てる場合・売る場合」を並べた表を作れます。当センターでは、建築を勧める立場でも止める立場でもなく、5つの選択肢を同じ表で比べることを行っています。相続税の試算報告書(二次相続まで)は33,000円(税込)、初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。