賃貸物件は配偶者に相続させるべきか|一次相続は配偶者の税額軽減で安く、二次相続で家賃の蓄積ごと課税される問題と分け方の試算

父の相続でアパートを母が相続すると、配偶者の税額軽減で一次相続の相続税は抑えられますが、以後の家賃が母の財産に積み上がり、母の相続(二次相続)では基礎控除が減ったうえで家賃の蓄積ごと課税されます。賃貸物件は子に、預金や自宅は母に、という分け方が有利になることが多い理由を、一次・二次の合計額の試算例で説明します。母の生活費、小規模宅地等の特例の要件、遺産分割での調整もまとめます。

「父の相続では、アパートはとりあえず母が相続して、相続税を軽くしよう」。配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分まで非課税)があるので、一次相続の税額を下げるにはそれが正解です。しかし結論から書くと、賃貸物件を母が相続すると、家賃が母の財産に積み上がり、二次相続で基礎控除が減ったうえで家賃の蓄積ごと課税されるため、一次・二次の合計では子が相続するほうが安くなることが多いです。

なぜ合計で損になるのか

  1. 母が相続したアパートの家賃(年500万円なら10年で5,000万円、税引後でも3,000万円台)は母の預金になり、二次相続の財産に加わる
  2. 二次相続では配偶者がいないので税額軽減がなく、基礎控除も法定相続人が1人減る分(600万円)小さくなる
  3. 母が高齢で物件の管理・修繕・建替えの判断がしにくく、認知症で経営が止まるリスクもある

試算例

父の財産:アパート(評価8,000万円)、自宅(評価3,000万円)、預金4,000万円の合計1億5,000万円。相続人は母と子2人。母の固有財産は1,000万円。アパートの家賃は手取りで年300万円、二次相続は10年後と仮定し、母の生活費による預金の減少は考えません。

分け方 一次相続の税額 二次相続の財産 二次相続の税額 合計
A:母が全部(1億5,000万円) 0円(配偶者の税額軽減) 1億5,000万円+1,000万円+家賃3,000万円=1億9,000万円 3,040万円 3,040万円
B:母が自宅と預金(7,000万円)、子がアパート(8,000万円) 約790万円(子2人の負担分。母は0円) 7,000万円+1,000万円=8,000万円 470万円 約1,260万円

Bでは一次相続で子が税を払いますが、家賃の蓄積が母の財産に加わらず、二次相続が軽くなります。合計で約1,800万円の差が出ます(数字は概算で、二次相続の考え方と配偶者の税額軽減の記事で仕組みを確認してください)。

母の生活費はどうするか

アパートを子が相続すると、母の収入は年金と預金の取り崩しになります。分け方の設計では、

  • 母には自宅と、生活費に十分な預金・保険を残す
  • 子が家賃収入の一部を母の生活費として渡す場合は、扶養の範囲(通常の生活費)なら贈与税はかかりません
  • 母の医療・介護の費用が増える時期に備え、預金を多めに母に残す

特例の要件との関係

  • 貸付事業用宅地の50%減額は、子が取得して申告期限まで貸付を続ければ使えます。母が取得しても同じですが、二次相続でもう一度要件を満たす必要があります
  • 自宅の小規模宅地等の特例は、母が取得すれば無条件で80%減額。自宅は母に、が基本です

分け方の決め方

一次相続の申告期限(10か月)までに、「母の生活」「一次・二次の合計税額」「物件を引き継ぐ子の適性」の3つで分け方を決めます。当センターの相続税の試算報告書(33,000円・税込)は、一次相続の分け方を変えた場合の二次相続までの合計額を並べる形で作成しています。初回相談は無料です。

※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。

相続税だけでなく、遺産分割・登記・不動産の売却まで、無料相談ひとつで段取りできます。

初回面談は0円。相続税がかかるかの判定と税額の目安、分け方の比較、相続登記や名義変更(提携の司法書士)、揉めている場合(提携の弁護士)、不動産の評価と売却の税金まで、窓口は当センターひとつです。ご契約まで費用はかかりません。

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