土地活用や売却の相談をしていると、営業担当の方から「相続税の試算を税理士にしてもらいましょう」と言われることがあります。当センターは、大手ハウスメーカー・賃貸住宅の建設会社・地域の不動産会社からの依頼で、オーナーの方の相続税試算とセミナー・勉強会を行ってきました。結論から書くと、試算は提案の前提になる数字で、受けておいて損はありません。ただし、試算で分かるのは相続税と納税資金までで、建てるかどうかの答えではありません。
試算の流れ
- 財産一覧の作成:土地・建物(所有地の一覧)、預金、有価証券、生命保険、借入、敷金。営業担当が集めた資料をもとに、税理士が一覧にする
- 評価:土地は路線価×地積(概算の段階では補正を簡略化)、貸家建付地・貸宅地の減額、建物は固定資産税評価額。小規模宅地等の特例の適用見込み
- 現状の相続税:相続人の構成(配偶者の有無・子の数)で基礎控除と税額を計算。配偶者の税額軽減を使った場合と、二次相続までの合計
- 対策後の比較:建築・売却・贈与などを行った場合の評価と税額。5つの選択肢を同じ表で並べる
- 報告と勉強会:オーナーの方に報告書で説明。複数のオーナー向けには勉強会で評価の仕組みと対策の順番を話す
用意する資料
- 固定資産税の納税通知書・課税明細書(土地・建物の評価額、地積、床面積)
- 賃貸物件の契約一覧(家賃・敷金・入居状況)と直近の確定申告書
- 借入の返済予定表
- 預金・証券の残高、生命保険の証券
- 家族構成(配偶者・子・孫、同居の有無)
試算で分かること
- 相続税の概算と、預金・保険で払えるかどうか(納税資金の過不足)
- 特例(小規模宅地等、配偶者の税額軽減)が使える土地と、要件を満たすための条件
- 対策ごとの相続税の差額。アパート建築の効果、建物贈与、売却した場合の譲渡所得
- 一次・二次相続の合計で見た分け方の違い
試算で分からないこと
- 時価:相続税評価額と売れる値段は別です。売却を検討するなら不動産会社の査定が要ります
- 収支:建てた場合の30年の収支は、建設会社の事業計画の前提(空室・家賃・金利)次第です。提案書の見方の記事で確認点をまとめています
- 家族の事情:誰が物件を引き継ぐか、同居するか、揉めないか。数字では決まりません
立ち位置について
建設会社や不動産会社の依頼で行う試算でも、当センターは建築や売却を勧める立場ではありません。建てた場合・建てない場合を同じ前提で並べ、オーナーの方が決めるための数字を出すのが仕事です。提案を受けている会社とは別に、直接ご相談いただくこともできます。相続税の試算報告書は33,000円(税込)、初回相談は無料です。相続税申告は基本報酬99,000円(税込・遺産総額4,000万円まで)からで、土地の評価は1か所110,000円(税込)からです。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。