「親が土地を持っている。相続税のために何かしたほうがいいのか、何もしないほうがいいのか」。この相談への答えは、土地の種類と家族の事情で変わります。結論から書くと、選択肢は「売る・貸す・建てる・贈る・遺す(そのまま相続する)」の5つで、相続税だけでなく、所得税・贈与税・登録免許税などの他の税金と、相続後の手取りまで含めて比べる必要があります。 そして、「建てる・買う」で相続税を減らす対策は、2027年1月以後に取得した貸付用不動産から効果が大きく減ります。
5つの選択肢の比較
| 選択 | 相続税への効き方 | 他にかかる税金・費用 | 向いている土地 |
|---|---|---|---|
| 売る | 土地が現金になり評価は上がる。納税資金と分けやすさを得る | 譲渡所得税(取得費が分からない古い土地は売値の5%が取得費) | 誰も使わない土地、遠方の土地、共有になりそうな土地 |
| 貸す(アパート・駐車場) | 貸家建付地で約2割減、貸付事業用宅地等の特例で200㎡まで50%減 | 不動産所得の所得税、修繕費、空室リスク | 駅に近く借り手がつく土地。賃貸開始から3年以内の相続は特例対象外 |
| 建てる・買う | 借入金が債務控除、建物は固定資産税評価額の7割程度で評価 | 建築費、借入金利、空室リスク | 2027年1月以後に取得・新築した貸付用不動産は、相続前5年以内なら時価の8割で評価。長く持ち続けて賃貸経営が成り立つ土地だけ |
| 贈る | 年110万円の暦年贈与、相続時精算課税(2,500万円まで+年110万円控除) | 不動産取得税、登録免許税(相続より高い)、贈与税 | 値上がりが見込める土地を精算課税で早めに渡す場合など |
| 遺す(そのまま相続) | 自宅なら小規模宅地等の特例で330㎡まで80%減 | 相続登記の登録免許税(評価額の0.4%) | 親が住んでいる自宅。同居の子か持ち家の無い子が相続する |
「建てれば相続税が減る」はどう変わったか
これまで、借入れでアパートを建てると、借入金が債務控除になり、土地は貸家建付地、建物は固定資産税評価で評価されるため、1億円の建物の評価が3,000万〜4,000万円程度になり、相続税が大きく減りました。令和8年度の税制改正で、相続開始前5年以内に取得・新築した貸付用不動産は、取得価額をもとにした時価の8割で評価することになり、2027年1月1日以後の取得分から適用されます。改正の詳しい内容
つまり、高齢の親が今からアパートを建てても、5年以内の相続なら評価の引下げはほとんど効きません。すでに持っている物件は従来どおりです。これからの「建てる」は、相続税のためではなく、賃貸経営として20年続けられるかで判断してください。
土地の種類別に見る
- 親が住んでいる自宅の土地:「遺す」が最も有利です。同居の子か持ち家の無い子が相続すれば80%減。誰も住まない見込みなら、相続後に売って空き家の3,000万円控除を使う形を考えます
- 駐車場・空き地:自分で経営する青空駐車場は貸家建付地にならず、貸付事業用の特例も要件が厳しくなります。アスファルト舗装などの設備があれば扱いが変わります。貸駐車場の土地の評価
- 農地:継ぐ人がいれば納税猶予、いなければ生前に売却・転用・貸付を決めます。農地の納税猶予
- 広い土地(500㎡以上):地積規模の大きな宅地として評価が下がる場合があります。分筆して一部を売ると評価単位が変わるので先に試算します
- 借地・底地:権利が入り組んだ土地は、生前に借地人への売却や交換で整理すると相続人が助かります。底地の整理方法
- 遠方の山林・原野:評価は低いが管理が続きます。相続後の国庫帰属制度や生前の売却・寄附を調べておきます
比べる手順
- 相続税シミュレーションで、今のまま相続した場合の税額を出す
- 土地ごとに「売る・貸す・建てる・贈る・遺す」のどれが向くかを上の表で当てはめる
- 有力な2〜3案について、相続税だけでなく他の税金・費用・相続後の手取りを並べて比べる
- 決めた方針を遺言に書く。不動産の承継者が決まっていないと、どの対策も相続後に生きません。遺言書がないとどうなる?
相談の進め方
当センターの相談は累計1,000件を超え、特に多いのがこの「土地をどうするか」の相談です。初回相談は無料で、固定資産税の納税通知書・賃貸借契約書・預貯金のメモ・家族構成が分かれば、今のまま相続した場合と、売る・貸す場合の税額の比較をお見せします。大阪府内・阪神・神戸のご自宅への訪問にも対応しています。
まとめ
親の土地の対策は、売る・貸す・建てる・贈る・遺すの5つを、相続税だけでなく他の税金と手取りまで含めて比べることです。自宅は「遺す」が最も有利で、「建てる」は2027年以降の改正で相続税目的では効きにくくなります。方針が決まったら遺言で承継者を決めておいてください。無料相談はこちらからどうぞ。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。