結論からいうと、前妻(前夫)との間の子は相続人になります。離婚で夫婦の関係は終わっても、親と子の関係は続くからです。相続分も現在の配偶者との子と同じで、遺産分割協議にはその子を含めた相続人全員の合意が必要です。一方、前妻(前夫)本人は相続人ではありません。
誰が相続人になるか
夫が亡くなり、現在の妻と子1人、前妻との間の子1人がいる場合、相続人は妻・子・前妻の子の3人です。法定相続分は妻が2分の1、子は残りを均等に分けるため各4分の1です。基礎控除は3,000万円+600万円×3人=4,800万円で、前妻の子も人数に含めます。
なお、再婚相手の連れ子は養子縁組をしていなければ相続人になりません。相続人の範囲は、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をすべて集めて確定します。前の婚姻の子がいることを戸籍で初めて知るケースもあります(離婚・再婚と相続人)。
連絡の取り方
住所が分からない場合は、相続人であることを示す戸籍を添えて、その子の戸籍の附票を本籍地の市区町村に請求すると現住所が分かります。最初の連絡は、亡くなった事実、相続人であること、財産の概要、協議への協力のお願いを記した手紙で行います。金額を一方的に提示したり、相続放棄を求める文面にしたりするのは避けます。
遺産分割協議が進まないとき
- 連絡がつかない、返事がない:家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。所在が全く分からない場合は不在者財産管理人の選任が必要です(行方不明の相続人がいるとき)
- 協議に応じるが条件が合わない:法定相続分を基準に、代償金(現金で清算)を使って調整するのが現実的です
- 遺言で前妻の子の取り分が少ない:遺言は有効ですが、前妻の子は法定相続分の2分の1にあたる遺留分(この例では8分の1)を金銭で請求できます
相続税申告は待ってくれない
相続税の申告期限は亡くなった日の翌日から10か月で、協議がまとまらなくても延びません。期限内にまとまらない場合は、法定相続分で取得したものとして申告・納税し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付しておきます。分割後に更正の請求をすれば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用して納めすぎた分の還付を受けられます(未分割での申告)。
申告書は通常、相続人全員の連名で1通にまとめますが、前妻の子と共同で作成できないときは、それぞれ別の申告書を同じ税務署に提出できます(申告書を別々に提出する方法)。
生前にできること
前妻の子がいる方は、遺留分に配慮した遺言で分け方を決め、保険金の受取人を現在の配偶者や子に指定しておくと、残された家族の負担を減らせます。
まとめ
前妻(前夫)の子は相続人で、相続分も基礎控除の人数も現在の家族の子と同じです。連絡は戸籍の附票で住所を調べて手紙から始め、協議が進まなければ未分割のまま期限内に申告します。相続人の確定から申告までの段取りは無料相談でご案内しています。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。