生前贈与の相談が増えるのが、毎年10〜12月です。暦年贈与の非課税枠110万円は1月1日から12月31日の1年単位で数えるので、2026年分は年内に贈与を終えないと、その年の枠は消えます。 年末までに確かめることを順番に書きます。
1. 今年の贈与が「贈与として成立しているか」
税務調査で否認される贈与の大半は、金額ではなく「記録が無い」ことが原因です。年内に次の3点を揃えてください。
- 贈与契約書:1枚で十分。日付・金額・贈与する人と受ける人の署名。110万円以下でも作る
- 振込で渡す:現金の手渡しは記録が残りません。贈与する人の口座から受ける人の口座へ
- 通帳・印鑑・カードは受けた人が管理する:親が持ったままだと名義預金として相続財産に戻ります
2. 7年の持ち戻しを前提に、誰に贈与するか
相続人(子など)への贈与は、亡くなる前の一定期間分が相続財産に足し戻されます。2024年の贈与から順に3年が7年に延び、2026年に相続が起きた場合は2023年1月以降の贈与が対象です(延長された期間の分は合計100万円まで除く)。年ごとの対象期間の早見表は別の記事にあります。
足し戻しの対象にならないのは、相続人でない孫や子の配偶者への贈与です(遺言で財産をもらう人や生命保険の受取人は除く)。親が高齢で、相続までの期間が短そうなら、子よりも孫への贈与の方が効きます。
3. 相続時精算課税を使うなら、届出の準備
2024年から、相続時精算課税を選んでも年110万円までは申告不要・持ち戻しなしになりました。親が60歳以上、受ける子や孫が18歳以上なら選べます。選ぶには、贈与した翌年の申告期限までに「相続時精算課税選択届出書」を出す必要があり、一度選ぶとその親からの贈与は暦年に戻れません。暦年贈与と精算課税のどちらが有利かは、親の年齢と財産の額で決まるので、年内に一度試算してください。
4. 110万円を超えた分の申告は2027年2月1日〜3月15日
2026年中に110万円を超える贈与を受けた人は、2027年2月1日から3月15日までに贈与税の申告が要ります。申告をしないと、無申告加算税と延滞税がかかるだけでなく、相続のときに「贈与の事実が無かった」と扱われることがあります。あえて110万円を少し超える贈与をして申告し、記録を残す方法もあります。
5. 教育・結婚・住宅の一括贈与の期限
教育資金・結婚子育て資金の一括贈与の非課税、住宅取得等資金の非課税には、それぞれ適用期限と要件があります。使う予定があるなら、年内に金融機関や税務署の最新の案内で期限を確かめてください。
年内のチェックリスト
- 今年の贈与の契約書を作ったか
- 振込の記録と、受けた側の通帳の管理ができているか
- 贈与する相手は、7年持ち戻しの対象外(孫など)も検討したか
- 精算課税を選ぶなら、届出書の準備をしたか
- 110万円超の分の申告(2027年3月15日まで)を忘れない仕組みがあるか
生前贈与は、相続税の計算だけでなく「誰にいくら渡したか」の記録そのものが、相続のときの争いを防ぎます。贈与の額や相手に迷ったら、相続税シミュレーションで相続税の目安を出してから、無料相談でご相談ください。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。