親と子で半分ずつ買った土地、兄弟で相続したままの実家の敷地など、共有になっている不動産は珍しくありません。結論から書くと、共有持分の相続税評価は「土地全体の評価額×持分割合」で、共有だからという理由の減額はありません。市場では共有持分は売りにくく安くなりますが、相続税の評価にその事情は反映されない決まりです。
計算の順番
財産評価基本通達では、共有財産の持分の価額は、その財産全体の価額に持分割合を掛けて計算すると定めています。
- 土地全体を1つの評価単位として、路線価×補正率×地積で評価する
- その評価額に亡くなった方の持分割合を掛ける
例:路線価20万円、整形地300㎡(補正なし)、亡くなった方の持分2分の1 土地全体=20万円×300㎡=6,000万円 相続税評価額=6,000万円×1/2=3,000万円
補正率は全体の形で判定するので、持分だけを切り出した仮想の土地の形で不整形地補正を掛けることはしません。アパートの敷地なら、全体を貸家建付地として評価してから持分を掛けます。建物も同じで、固定資産税評価額×持分です。
他の共有者が誰かで変わること
評価額は変わりませんが、相続した後の使いやすさは共有者次第です。
| 他の共有者 | 起きやすいこと |
|---|---|
| 相続人本人(親子の共有) | 相続で単独所有になり、問題は解消する |
| 他の相続人(兄弟の共有) | 遺産分割で誰が持分を取るかを決めれば単独化できる |
| 相続人でない親族・第三者 | 売却や建替えに全員の同意が要る。持分だけの売却は買い手が限られる |
| 所在不明の共有者 | 2023年の民法改正で、裁判所の手続きにより持分を取得・譲渡できる制度がある |
共有のまま次の相続を迎えると共有者がさらに増えます。今回の相続で単独所有に寄せる、共有物分割や交換の特例で整理する、持分を放棄・譲渡するといった選択肢を、申告と並行して検討します。共有名義の注意点全般はこちらにまとめています。
小規模宅地等の特例は持分で面積を按分する
特例の限度面積(居住用330㎡、貸付事業用200㎡)は、亡くなった方の持分に対応する面積で判定します。
例:敷地300㎡、持分2分の1、配偶者が相続(居住用) 持分に対応する面積=300㎡×1/2=150㎡ → 330㎡の枠内に収まる 減額=3,000万円×80%=2,400万円
したがって、持分だと使える面積が減る分、枠が余りやすくなります。複数の土地がある場合の枠の使い方や、相続人が共有で取得する場合の計算は共有で取得したときの小規模宅地等の特例を参照してください。
申告での注意点
- 評価明細書には土地全体の評価を書き、最後に持分を掛けた金額を記載します
- 登記事項証明書で持分割合を確認します。共有者が複数の相続で増えている土地は、登記簿と実際の権利者がずれていることがあります
- 他の共有者が持つ持分は亡くなった方の財産ではないので、申告に含めません。ただし亡くなった方が代金を出して他人名義にした持分は名義財産として確認が必要です
共有持分の評価そのものは単純ですが、分割の設計と特例の面積計算で差が出ます。当センターの相続税申告は基本報酬99,000円(税込・遺産総額4,000万円まで)から、土地の評価は1か所110,000円(税込)から。初回相談は無料です。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。