相続した土地について「測量しないといけませんか」とよく聞かれます。結論から書くと、相続税の申告や相続登記のためだけなら測量は不要で、分筆・売却・境界不明・地積のずれという目的があるときに初めて必要になります。
測量が必要になる4つの場面
- 分筆して相続人ごとに分ける:分筆登記には確定測量図が必要です(分筆による現物分割)
- 売却する:買主が住宅ローンを使う場合や分譲業者に売る場合は、境界確定と実測売買が条件になるのが一般的です
- 境界が分からない:境界標がない、隣地と認識が違うときは、境界未確定のまま相続した土地として先に境界を確定します
- 登記簿と面積がずれている:縄伸び・縄縮みがあり、地積更正登記をして売る、または評価に実測を使うとき(縄伸び・縄縮みの評価)
相続税の評価は実測図があればそれを使いますが、なければ登記簿の地積で申告できます。評価のためだけに測量費を払う必要はありません。
確定測量と現況測量の違い
| 現況測量 | 確定測量 | |
|---|---|---|
| 内容 | 塀や境界標など現地の状況をそのまま測る | 隣地所有者と道路管理者の立会いで境界を確定して測る |
| 隣地の立会い | なし | あり(民民) |
| 道路との境界 | 確認しない | 官民査定(自治体との境界確認)を含むことが多い |
| できること | 面積のおおよその把握、建築計画の検討 | 分筆登記・地積更正登記・実測売買 |
| 期間 | 短い | 立会いの調整で数か月かかることがある |
分筆・売却のために必要なのは確定測量です。隣地が多い、所有者が遠方や相続未了で連絡がつかない、道路が里道や水路を含むといった土地は期間が延びます。
費用の決まり方
測量費は土地家屋調査士に依頼し、面積、隣地の数、官民査定の有無、境界標の設置数、過去の測量図の有無で決まります。住宅地の一般的な一区画で数十万円の幅、官民査定を含んだり隣地が多かったりすると百万円前後になることもあります。見積もりは2社以上から取り、「官民査定を含むか」「境界標の設置費を含むか」を同じ条件でそろえて比べてください。亡くなった方が過去に測量した図面(確定測量図・地積測量図)が残っていれば大きく安くなるので、権利証と一緒に探します。法務局の地積測量図は、分筆や地積更正の登記をした土地なら誰でも取れます。
測量費は譲渡費用になるか・申告期限との関係
売却のために行った測量の費用は、譲渡所得の計算で譲渡費用として売却代金から引けます。境界確定に伴う調査費も同様です。一方、売却と関係なく相続人の間で分けるために行った分筆の測量費は譲渡費用になりません。相続税の債務控除にもなりません(相続開始後に相続人が負担する費用のため)。相続した土地を売るときの税金の全体像は相続した不動産を売ったときの税金にまとめています。
相続開始から10か月の申告期限までに境界確定が終わらなくても、申告は登記簿の地積で行い、売却後に実測が大きく違えば評価を見直す(更正の請求や修正申告)ことができます。測量の完了を待って申告を遅らせる必要はありません。
当センターでは、測量が本当に必要な土地かどうかの見極めも初回相談(無料)でお伝えしています。相続税申告は基本報酬99,000円(税込・遺産総額4,000万円まで)から、土地の評価は1か所110,000円(税込)からです。
※この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の事案に対する税務判断ではありません。実際の取り扱いは財産の内容や分割の仕方によって変わります。